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今でもずっと、1番だいすきな彼

彼との出会いは、大学3年の春。

1学年下で入学してきた彼は、背が高く細身、いわゆるジャニーズ系の顔立ちで周囲は口を揃えてイケメンと言って持て囃した。

同じクラブに後輩として入って来た彼を、私はどことなく嫌っていた。

皆にイケメンと言われ、どう見ても確実に女慣れしてそうなのに、
たどたどしく私に接してくるのがわざとらしくて不信だったからだ。

「このイケメンは猫かぶってる。絶対。」と思って、私は彼を必要以上に避けていた。

それは私自身の中にある、彼に対する興味を抑えるためでもあった。

彼のことを知ってしまったら、本当はすごく純粋な子なんだと気付いてしまったら、
絶対に私は好きになってしまう。そして、あのイケメンに選ばれることはなく仮に選ばれたとしてもきっとすぐに捨てられる。と

直感的に感じていたから、彼自身も彼の話題も避けていた。

ある時、彼が私に相談があるようだとクラブの仲間づたいに聞いた。

来た。これは、確実に遊ばれて良しのパターンだと思った。

でも、本当の姿を、もしかしたら私にしか見せないかもしれない彼の姿を
見られるかもしれないと思うと、その誘いに乗るしかなかった。

彼と行ったのは、歓楽街の一角にある学生たちで賑わう居酒屋だった。

「こういうとこ、あんま慣れてないんで。」と彼は笑って言い、私は(嘘ばっかり)と思いながらふぅんと返す。

彼の相談ごととは「僕、すごく遊んでるように見られてて。本当はそんなことないのに。」といったことだった。

「でも、○○さん(私の名)は分かってくれますよね?だって、似てる気がする。」と勝手に似たものにされたが
私も実際同じようなもので、奇しくも本当に遊んでいた時期があったから何も言わなかった。

分かってほしい、知って欲しい本当の自分を。と何度も言う彼を見ながら、
私の予感は幸か不幸か的中した。この子のこと、ずっと好きだったんだ、と。
彼の相談に応える形とは全く違っていたが、私は「あんたの事好きだから分かるよ。」と言った。

彼は驚く様子もなく「だと思ってた。僕もずっと好きだったから。」と整った顔をほどくように笑って答えた。

そんな返しが来ると思っていなかったからか、抑えてきた感情をよりによって本人に伝えてしまった解放感からか、
私は涙が止まらず、途中で笑い出したりまた泣いたりを繰り返して、店を出た。

帰り道、「僕ん家、実家だけど来ます?」とまたビックリさせられたが、私は彼と手を繋いで実家のマンションへ向かった。

大学生という若く健康で多感な男女にとっては、当たり前のように一緒に寝ることになった。

「母親起きてくると面倒だから、しぃ~っすよ?」と人差し指を口に当てて言う彼はとても可愛らしく、もう大好きとしか言えなかった。

事が始まると、彼は妙に落ち着かなくなり、何かを言いたそうにしたので「どうしたの?」と聞くと、
「いや、初めてなんで・・・」とボソリ。もう今日は何回ビックリすればいいんだと思うほど驚いた。

「そしたら、私じゃないほうがいいんじゃない?男の子にとっても大事なものだと思うからよく考えてみたら?」と
身体を起こして言う私に、彼は「そういうとこがマジで好き」と言って抱きつき、事が再開し、そして終えた。
その日が、その後何度もお祝いする二人の記念日となった。

私にとって彼は、テレビの中にいるみたいな、ずっと憧れていたけど遠い存在だったから
好きって思うことも伝えることも、通じ合うことも、まして交わり合うことなんてないと思っていた。

そんな彼と一緒にいられることが、大学生だった自分にとって何にも代え難い幸せな時間だった。

本当に大好きだった。今でも1番好きだったと思う。

社会人と学生になり、すれ違いと遠距離によって彼とはお別れしてしまったけれど
それでも、今でも、1番だいすきな彼。

ずっとずっと、私の1番だいすきな彼。

また、いつか会いたいな。